2024.02.02
2024 SPRING SUMMER COLLECTION
夜を編む
夜を編む
その物の本来の色に黑い霧がかかる
闇霧に身を燻らされ
美しい沈黙 深い安堵
微かな室内の光に目を凝らす
光をはらむ花、花挟、花瓶、溢れる水
玄、濡羽色、似せ紫
漆黑へ
夕方の薄暗くなってきたころ、本家には白熱電球に灯がつき、
祖父の部屋が橙色に染まる
何かを熱心に書き留めている祖父のペン先からインクが滲んで
文字が紡ぎ出される姿を眺めているまだ小さいわたし
祖母が愛用していた生花に使う花鋏
それを持つ働き者の手
騒がしい日中を終え、夜ようやく静かになった部屋で
祖父と同じようにペンを持ちながらぼんやりと思考を巡らす
白熱電球に照らされ作られる影、
漆黑になっていく様、朝日が上る前の夜の色
日本の黑には色々な黑があり、どの黑にもそれぞれの美しさがある
さまざまな黑に燻らされ、思考を織ることができる夜が、
特に夏の夜がとても好きです
今回はVogel川開さんに生花をモダンに表現した花束を製作していただき、
飼い犬のアン君に友情出演してもらいました。
モデルは歳を重ねたAmandaに依頼し、ヘアメイクの河村さんがさらに
美しく磨き上げてくれました。
先シーズンが完璧すぎて、これ以上ないだろうと思っていた写真を毎シーズン
更新してくださる松原さんには本当に脱帽してしまいます。